ナンテコッタ 相談室だより 其の一

平成12年6月6日

〜ごあいさつ〜

この4月より西南部小学校に学校生活指導員としてお世話になっています南手骨太(なんてこった)です。むろん本名ではありませんが、子どもたちからは「骨太さん」と呼ばれている(呼ばせている?)ので、またどうぞ宜しくお願いいたします。なお任期は9月までと短い期間ですが、どうぞ充分にご活用くださいませ。 学校生活指導員というのは、教師とは違った立場で子どもの様子を見たり、相談にのったりするものですが(それゆえに私のことは「先生」と呼んでもらってないのです)、子どもたちにしても保護者の皆様にしても、学校をうろうろしているこいつは一体何者じゃという疑問もあるかと思いますのでそれを解決するため、そしてまた私が見て感じた子どもたちの学校での様子を少しでもお伝えするために、今後思いつくままに文章にしたためて皆様にお渡ししたいと思いついた次第です。学年だよりの片隅にでもちょこっと書こうと思ったのですが、つい分量が多くなってしまいましたので、相談室だよりとして不定期にみなさまのもとへお届けしたいと考えています。

〜まえおき〜

私の性格と同じく、文章もどうやらだらだらとなってしまいがちなようで。文体もむちゃくちゃでして、お忙しい皆様方にはご迷惑をおかけするかと思いますが、気が向いたときにお読みいただけますと幸いに思います。 また、ここに書いてあることは、私が学校で見た、そして社会から感じた、そしていろんな人の話を通じてなどなど私のフィルターを通って出ているものなので、皆様方のご家庭において参考になるかどうかはそれぞれのご判断でお願いいたします。本当に子どもたちも個性溢れ、ご家庭の教育方針も千差万別であって当然ですので、私が書くことはそっくりそのまま正しいと思わないで、あー骨太はあんな意見なんや、程度に思っておいてください。そして逆に皆様からのご意見をお聞きしたく、ぜひぜひ賛同、批判問わずお寄せください。お手紙もしくはメモ紙でも職員室まで宜しくどうぞ。

〜これまでのようす〜

とりあえず今回はこちらへお世話になってから1ヶ月半ほどの様子をご報告。校舎の1階の片隅に相談室というのが設けられています。こちらへ子どもや保護者の方が相談に来られることになるのですが、とりあえず私がここでじーっと待ってても誰も来んだろうと思い、授業に参加させていただいたり、休み時間にサッカーやドッヂボールの相手をしてもらったりしています。5月末の時点でほぼ全てのクラスの授業を見せていただき、子どもたちの様子も何となくわかりはじめてきました。よくテレビで学級崩壊のすさまじい様子を見ますけれども、この学校に関してはそんなことはないですかね、少なくとも私の目の前では。みんな人懐っこくて、廊下で会うとは声をかけ、手を引っ張ってくれて、私がこんなにもてた時代はあとにも先にもないでしょう。とにかくみんな魅力的で素晴らしい子どもたちのようです。ここでなかなか目に留まらないおとなしい子どもたちもいるはずで、そういった子については別の機会にお話することとしまして、今回は一般的な西南部っ子(て言い方しますか?)の雰囲気というものについてお話を。

〜西南部小の子どもたちは?〜

一口で感想を述べるならば、明るくて楽しいよい子たち。ちょっと優等生的でつまらない感想でした?ですが子どもたち同士の間柄のことについて申しましたならば、正直そのとおり。ここで私が健全な状態と考えるのは、小さないざこざがよく起こって、それをめぐって子どもたちがいろいろ考えをめぐらし、いろんな解決方法を試してみて、相手の出方も判断して、そうやって人とのコミュニケーションをうまくとっていくように“学習している状態”。知性についてもそうですが、学校というのは身についてないものを学ぶところ。妙にオトナで聞き分けのよい小学生ばっかりの学校って変と思います。逆に全員わがままで収拾がつかない状態も、これもまた変。人より少しオトナになるのが早い子がいて、人よりも少し遅い子もいて、そういう個人差があって交じり合っててこそ自然な状態。それでもってクラスの中にわがままなのがいれば、あーらまだお子ちゃまなのね、しょうがないわねーという子もいて全体としてうまくいく。バランスがとれているもんなんですね、世の中。我々大人の癖として、どうしてもわがままな子にばっかり目を向けてしまい、何とか直してやろうと思ってしまうのですが(もちろんその子のためを思って好意で)、その子は「主張する」という行為を自分の身に付けるための試行錯誤のプロセスに多くの時間を要するタイプだったか、家庭の事情や友達との関係においてこれまでの人生でまだ充分に学びきってなかったか、たかだかそんだけの話じゃないかなとも思うのです。要は個人差、ですが子どもが大きくなればなるほど、その精神的成長が遅れ気味の場合、周りへの実害も大きくなっていくのも事実。力も強くなるし、わがままの要求も大きくなるし、金が絡んでくるし、異性の問題も。そう思うとやっぱり早いとこ成長してもらいたいと思うのが人情。が、通常(何が普通かってのが説明難しいとこですが)の子育て環境であったならば、そうそう変なことにならずに、ある時点で悟るものです(と言われています)。で、私がざっと見たところ、これは将来やばいぞって子は今のところ見受けられず(おとなしい子でものすごく内に溜めてる子まではまだ目が届かず、今後の課題です)。そして、学校内で起こる小さい喧嘩や学年の上下関係の中でのやりとりを見てると、しっかり学習の機会を得てるなと感じます。そう、こういうのは大人が止めちゃだめなんですね。折角の学習教材なんですから。かく言う私も、小学生時代はほんとにわがままなやつで、今思うと恥ずかしくなってしまうくらい。たぶん西南部小で一番わがままだと言われてる子よりも私の方が上でしょう(この学校に当時の私を知る先生がいなくてよかった・・・)。まあ変に矯正されなかったお陰で、今のわたくしがあるのかもしれません(まだまだ不十分ですが)。西南部小の先生方は、みなさんその点よーくわかってらっしゃる方ばかりですので、子どもたちにとってほんとにいい学びができるところだと思います。ご家庭でも小さい頃に何でもたくさん経験させとくのがいいってことでしょうか。一人っ子の家庭も最近は多いのでなかなかそうもいかないかもしれませんけれど。子どもをオトナにするのは矯正ではなく機会かなというのが、最近骨太の思うところでありました。



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