アメリカ デモクラティックスクール見聞録 - サドベリーバレーの巻 前編 -
2005年5月23日から6月3日まで、米国にある2箇所のデモクラティックスクールを見学してきました。
これは日本でフリースクールの草分け的存在であるうーたん(児島一裕氏)の企画した「天職の階段 インターン特別プログラム」
であり、北は北海道から南は九州までデモクラティックスクールを始めたい人、強い関心を持つ人たち、私を含めて6名が参加したのでありました。
メンバーはその6名+うーたん+通訳のミキさん合計8名で、それぞれ超個性的ゆえ、面白い旅がはじまったのでありました。
出発前関空とボストン到着。実は私は出発日を一日間違えて、前日に関空に行ってしまったのでした。でもおかげで素晴らしい出会いが。
この話はまた私に直接聞いてね。
最初の訪問地はボストンから車で郊外へ1時間ほどのところにあるサドベリーバレースクール(以下SVS)。ここはNHKでも特集されたり、
ここのことを書いた「超」学校という本が出版されている有名な学校なので知っている人も多いと思います。私も数年前にそのビデオを見て、本を読んで
衝撃を受け、こういう学校を創りたい!!と思ったものでした。そのビデオはこれまでに何十回と観ていますが、その度に感動して涙してしまうほど
自分の魂に響くものでした。ついにその憧れの学校に行けることになった訳です。
これがSVSだ!
デモクラティックスクールとは?とかSVSってどんな学校?といったことに関しては本になっているくらいの量があるので、ここでは割愛します
(興味ある方、本やビデオをご覧ください。お貸しします)。自分の目で見て、体験してみて感じたことを書きます。
そもそもSVSの見学は許可されていません。あまりに多くの見学者が全世界から訪れたため、ミーティングで原則禁止の決定がされました。
けれど、SVS代表のダニエルとうーたんは長い付き合いで、深い信頼関係があるので、ミーティングにはかって、このうーたんの企画するツアーは3日間の
滞在を特別に許可された貴重な機会なのでした。
代表のダニエルそして創立時からのスタッフミムジー。右はダニエルとハンナ(ダニエルの奥さんでやはりSVSスタッフ)、ミムジーとディナーに。
しかし子供の活動を妨げないよう、子供の写真を本人の許可なく撮ってはいけない、子供にこちらから話しかけてはいけない(そしたら写真も撮れないわなあ)
という条件がついています。
初日はここを卒業して社会で働いた後スタッフとしてSVSに戻ってきたスコットが施設を案内してくれました。昔の富豪の別荘だったとかで、
部屋もトイレもたくさんあって、バーンという大きな元馬小屋もあって、180人ほどいる生徒が余裕で納まってしまう器でした。あいにくこの3日間通して
雨という、観測記録最低の寒い5月だったようですが、普段多くの子供たちは広大な敷地の芝生の上や高い木の上で遊んだりしているようです。
そんな雨の中でもボール遊びをしている子供たちもいて、すげえなあと思って眺めていたら、一緒にやろうと声をかけてくれまして、私も雨に
濡れながら混ぜてもらったのでした。地面に田の字が描いてあって、各マスに1人づつ計4人がプレイするゲームで、
ドッヂボールを手で返すテニスのようなもの。4つのマスには階級があって、失敗した人は抜けて、
それより下の階級の人が1つ上にあがって最下級のマスに順番待ちをしている人が入ってき
ます(これは途中で混ぜて欲しくなったときにいつでも入れる素晴らしいシステム!)。
ボールを返すたびに何か声を発するルールやボールを一瞬保持して相手の地面にたたきつける何とかファイアーとかいう技、
すごい回転をかけてとりにくくする技などローカルルール(そもそもこのゲームが一般的なものかは不明)があるみたいだけど、
女の子が入ったときにはこの技を禁止にしたいなどの提案があったりして、みんなが楽しめるように工夫がありました。
これがそのマス。子供が写ってないけど。
ここは5歳〜18歳くらいまでの子供たちが学年の別なく遊んだり学習したりしているので、大きい子小さい子が一緒に何かするときはこういう
配慮がごく自然に行われているような、そんな伝統が感じられました。
でもやんちゃくれのビリーは女の子に直接ボールを当てるなどの狼藉を働いたので顰蹙を買う場面も。これがひどいと司法委員会に
訴えられたりすることになったりします。
特別の許可をもらわないと使えないもの、部屋などがあり、このように誰が使えるか明記されています。これはバーベルなどトレーニング器具を
使用できる許可。他に、楽器や電子レンジ、ビデオゲームなどなど。
巨体ビリーと、もっと巨体のトムはニンテンドー仲間で、プレイルームのカウチでいつもゲームボーイをしているのだけど、
なぜか私と仲良くなって、彼らのダチ(7,8歳のゲーム仲間など)を紹介してくれたり、敷地に隣接する広大な州立公園に散歩に連れて行ってくれたりと
重い体を億劫がらずにまめまめと案内してくれるのでした。
聞くと彼らはSVSに来る前に公立学校に通っていて、いじめなどを受けており、つらい日々を過ごしていたけど、
ここに転校してきて毎日楽しいと言います。誰も彼らをデブとか言わないし、何かを強制されることもありません。
ビリーはまだちょっとスネたところが残っているけど、根はいいやつなので次に会うころにはいい兄貴分になっていることでしょう。
楽しみです。
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