アメリカ デモクラティックスクール見聞録 - サドベリーバレーの巻 後編 -
ミーティングをする部屋で個展がありました。生徒の作品が展示して販売もしてます。
SVSらしいなあと思ったのがトイレ。一般家庭のような普通のトイレが何箇所かあって、男女の別なく使われるんですが、その
いずれにもカギが付いてません。聞くと、この屋敷を購入したときについてなくて、別に支障がないのでそのままつけてないとのことです。
どうして支障ないかと言うと、基本的に未使用の時はドアが開いており、閉まっている時は使用中ということになっているから。
長い間何かの拍子でドアが閉まっていて、中にいるかいないか不明なときも、ノックをしてから開けるので、「キャー!!」と
いうことにはならないんだそう。まるで180人が一家族みたいな感じです。いや、家族でもトイレのカギは閉めたりするわな。
これがトイレのひとつ。
あと、面白いのは池のほとりに(敷地内に池もある!!)四阿(あずまや)があって、そこはスモーキングエリアになっていること。
この州では18歳以下はタバコを買うことは出来ないけど吸うのは法律違反ではなく(本当か!?)、大人が一方的に禁止するのはSVSの
ポリシーに反するし、隠れて吸われると火災の危険もあるので、かつては校舎内に一部屋喫煙ルームがあったそう。校舎が手狭になってきて、
愛煙家の生徒が自ら、屋根さえあれば外に出てもいいよと申し出てくれたため、現在の形になったそうな。
テーブルの上に灰皿が。
あとちょっとびっくりは、お昼時にスナック菓子やジュースの購買が出ます。生徒が用意してお金のやり取りなんかもするのは、さすがSVS
といったところですが、売っているのはジャンクフードの山。チョコレートにカップラーメン、コーラなど。
生徒たちはこれらを昼食代わりにしているよう。これにはゲゲッと思いましたが、こんな食べ物はダメだ、なんて大人の論理で禁止にしないところ
がSVS。ランチボックスを持ってきている子もチーズサンドイッチだけとか、ソースのかかってないパスタだけだったりするので、
そもそも日本の弁当とは感覚がもともと違うみたい。
このテーブルがお昼にはスナック菓子売り場に変身。
週に1回ほど、元シェフのマーク先生のもと、手伝いの子供たちがランチを作って販売します。我々の滞在3日目はちょうどその日で、
イングリッシュマフィンピザとルートビールアイスフロート(ルートビールはノンアルコール)。ルートビールは薬品みたいで私の口
には合わなかったけど(アルコール入りがいい!)、上に乗ってるアイスや焼き立てピザはおいしかった!
それから掃除。ここではなんと掃除専門のおばさんが夕方来て、生徒の下校後全部屋を掃除するそうな。そのために結構な給料を
払っているとのこと。かつては生徒たち自分の手で掃除していたけど、うまく機能しない(サボる子がいたりきれいに片付かなかったり)
たびにミーティングで話し合って、やり方を変更したり、相当試行錯誤をした結果、今の形に落ち着いたとのこと。
掃除が義務だと、大人スタッフも子供たちに対して強制しなくてはいけなかったりでSVSらしくないので、スタッフのスコットは今の
やり方になってよかったと感じているそう。
これを読んでいる皆様はどうお考えでしょう。まだまだ書きたいことたくさんありますが、SVSについてはこの辺で。
仲良くなって写真を撮らせてもらったかわいい女の子たち。そしてスタッフルームで。
そうそう、SVSの卒業生で日本に留学もしていたヒラリーという女の子のお宅で夕食をご馳走になりました。
この一家は子供をSVSに通わせるためにドイツから引っ越してきたつわもの(でもSVSでは珍しくないみたい)。
彼女はとってもエレガントでエクセレント。こんな娘が欲しい!といった、本当に良く出来たお嬢さんで、彼女や
彼女の両親と話していると、SVSの完璧なまでの自由さが、こういった素晴らしい人間を育てていくんだなあと実感しました。
もちろん両親の子供に対する信頼や理解、対応、愛情も素晴らしいからですね。
ヒラリー一家と。バルコニーでバーベキュー。素敵なアメリカのファミリーでした。
■ prev
■ top
■ next