ユース・ワークキャンプ in フィリピン - その5 -
今回のワークキャンプの大きな目的は環境保全です、一応。伐採されて少なくなったマングローブを植林することと、World Wetland Day(世界湿地の日)国際会議に参加することが一番のメイン。2月2日はラムサール条約締結の日とかで、「世界湿地の日」と定められ、またこの日より1週間はアジア湿地ウィークと呼ばれ、アジア各地で様々な活動が毎年行われているみたい。また我々の滞在するこのオランゴ島はフィリピンで唯一、ラムサール条約で保護された1020ヘクタールの広大な湿地があり、渡り鳥には超重要な聖地なのだ(全部請売りで御免)。
これがマングローブ。まだ子どもの。
ちょっと成長したの。
我々の植林するとことは別の場所だけど、植林されたマングローブ。
潮の引いている海を渡ってネイチャーセンターに行きました。センターでは渡り鳥の説明を聞いたりバードウォッチングをしたり。海には見たこともないような奇妙な生き物も。子どもたちはフィールドスコープで熱心に、とってもかわいい鳥さんたちを観察してます。きっと今回の参加者たちはこの緑の地球を心から守ってくれるに違いあるまい。
ネイチャーセンターで渡り鳥や湿地、マングローブの役割などについて話を聞きました。
真剣に鳥を観察するトシ&ハルキ
マングローブの植林は、まず種の採取から始まりまして、干潮の浅い海辺をじゃぼじゃぼと進み、枝にぶら下がる大きいアスパラガスのような種をもぎ取ります。こうやって一人20本、あわせて600本以上を集め、これを持って別の海岸へ行き、海底に挿すという作業をします。この海の向こうにはセブ空港のあるマクタン島が見えるんですが、ここからでもはっきりわかるくらい大きなホテルが立ち並ぶ高級リゾート地。向こうには温かいお湯の出るシャワーも、ふかふかのベッドも、冷たいアイスも、全自動洗濯機もあるんだろうけど、全然うらやましくなんかないぞ。もうすっかりオランゴ島での原始的生活がお気に入りなのだ(決してヤセ我慢なんかでは・・・)。
こうやって種を採る。
たくさん集めたよ。右からクリスティーナ、チースー。
大漁じゃった。
今から植えに行きます。じゃぼじゃぼ。
こんなんにして植えるんだよ、ハルキ。
これが種だ!フク&タカ。
仕事の後に、みんなでハイ、チーズ。
トシ、スーリュンにいじめられる。
このようにあまりにも素晴らしい夢のような日々であったのですが、私だけ所用で一足先に帰国せねばならず、大変残念。後の予定にあった「世界湿地の日」会議では、うまく発表できたかしら。フクはホームスクーラーゆえ、自分で調べる学習は慣れているのか、彼の地元にある「佐潟」というラムサール条約登録湿地について詳しくレポートをまとめてきていました。石川県勢も、同じく登録されている「片野鴻池」について調べてきてましたね。これにはびっくり。このワークキャンプが始まる3週間前に参加者同士のメーリングリストを開設していて、味噌を持っていく?とか、着替えはどうする?などと意見交換していたんだけど、そこで湿地の日会議への参加が決まったことを知った子どもたちは、各自でそれを調べていたというわけです。
旅立ちの朝。うう、離れがたい・・・
フィリピンの高校生たちが、私のためにネックレス(私の首には入らないんだけど)を作ってプレゼントしてくれました(涙)。
左からデュアン、アヤサ、コッタ、クリスティーナ、ジェシカ。
マリが持ってきたノートブックを見せてもらったら、フィリピンの国のことから、簡単な日常会話から、今回のワークキャンプで必要そうな情報が多岐に渡り、ポップでカラフルに書いてあるんです。学校でもこんなに自主的に勉強する?いや失礼、そういう人もいるいる。だけど、現代の日本の子どもたちがこれほどまでにワクワクして勉強することってあるんでしょか。フィリピンに行くからフィリピンの国のことを詳しく知りたい。たくさんの人とお話したいから、英語の勉強もしときたい。湿地の会議に出るけど、ラムサール条約って何?マングローブはなぜ減っている?向こうの気候は?お土産買うのにお小遣いはどれくらい必要?1ペソ2円くらいで今円高らしいけど、これってラッキー?フィリピンと日本の時差は?地球はどっち向きに回ってるんだっけ?子どもたちは必要であると同時に興味を持って自主的に学習をしていたんですね。
世界湿地の日国際会議!
立派な発表だったようです。出席したかった・・・
現地に来たら、調べてきたことを肌身で体感し、更に新たな発見が山のように出てくる出てくる。物価安いね。薪があまり見つからないけどマングローブ切ったらマズイか(笑)?FM放送は全部英語だしUSミュージックも多いなあ。こっちの食事も米がメインだね。教会多いな。フィリピンの高校生はコイズミとかヒロヒトとか知ってるぞ。
会議出席もいい体験だったようで何より。
全ての日程を終え、無事帰国した子どもたちは、メーリングリストでワークキャンプの続きをやってます。また絶対に行きたいね。写真交換もしたいし次いつ会おうか。英語の勉強をもっとするぞ。韓国語の本を買ってきちゃった。学校行ったら、みんなも行きたいって。けど授業はつまらんかった・・・
ヘンなもの発見。
現地高校で冬の金沢を説明するタカ。
海で泳いで船上ランチ。(私は先に帰ったので泳げなかった・・・)
今回のワークキャンプで、子どもたちは言葉に出来ないくらい多くのものを得たように感じます。向こうを発つときはみんなで抱き合って号泣したらしいけど、本当によかった。コミュニケーションで不安を抱えていた子どもたちが、たった2週間でがっちりと一つになったその柔軟さに、ただただ感動するばかりです。このようなすごい機会を創り出した三カ国のNGOスタッフに感謝。また助け合い、自らも高めていった素晴らしい子どもたちに栄光あれ
ほんとに最高の体験ができたと思います。
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